UIデザインチームSensebahnの田中です。
オライリーより出版された“Lean UX”の刊行記念イベントに行ってきました。スピーカーは工藤 博樹さん(クラウド経理MerryBizを立ち上げ twitter: @hirokii)、坂田 一倫さん(株式会社コンセント ユーザーエクスペリエンスアーキテクト twitter: @mariosakata)、松井田 彰さん(ednity UIデザイナ twitter: @akirang10)。
UXはIT界隈でよく使われる言葉ですが、リーンUXはいかなるモノ、コトに対しても全く同じことが言えるはずだと確信しました。
ユーザに愛されるものを作るメソッド、リーンUXについて分かりやすくおさらいします!
(以後、敬称略)
そのまえにUXってなに?
ユーザーエクスペリエンスの略で、直訳すれば“利用者の体験”になります。意味合いとしては利用者の体験を軸にして何かを作ることになります。
じゃあリーンUXってなに?
それがこのイベントの趣旨。そしてこれからおさらいすること。
ではまいりましょう。
1. そもそもリーンとは
リリースしてみたら誰にも使われなかった。という事態を防ぐための方法論。
―工藤 博樹
利用者を具体的に想定して、その人の持つ課題を仮説立て、想定した利用者と合致する人にインタビューして検証する。それを繰り返して答えを出すのがリーンです。
2. UXでリーン
何かを作り始めるとき、最初にチーム全員で”どんな体験をしてもらうか”を話し合う。
―松井田 彰
チーム全員でどんな体験を与えられるか考えます。
3. 具体的な進め方
具体的なステップにこだわってはいけない。創造性が大事。
―坂田 一倫
ステップに縛られると創造性を失うことになります。
4. でもどうするの?
Yahooの新CEOマリッサ・メイヤーは、社員がノマドで働くことをやめさせ、オフィスに来ることを命じた。
―坂田 一倫
つまり人が“孤立”してはいけないということ。“チーム”で動くということ。
チームで足の引っ張り合いをするのではなく、助け合いの文化が必要。助け合いのためには“ぶっちゃけ合い”が必要。いま何をしていて、何に悩んでいるのかを共有する。
―坂田 一倫
異なるカルチャーを持つ人同士で“ぶっちゃけ合う”ことで創造性を引き出します。
ドキュメントにまとめない。中間生成物は利用者の価値にならない。
―坂田 一倫
ドキュメントにまとめる時間があったら話し合いましょう。
5. チームで話すこと
問題解決よりも、問題の発見に重点をおく。
―坂田 一倫
どんな問題があるかを知ることが大事です。
利用者は存在するか? その利用者は課題を持っているか?もしくは気づいているか? 製品はその課題を解決するか?
―坂田 一倫
前提を考えては検証し、また前提を考えて、の繰り返し。
6. 大事なのはチーム
創造はチームの助け合いから生まれる。
―坂田 一倫
いろんな職種の人がひとつのチームで同時に動くことが、いい製品につながります。職別にベルトコンベアして作ると創造性を失います。
デザイナがデザインを作りながら、その横でプログラマが開発を始める。そうすると「こうしたほうが良いんじゃない?」が生まれる。
―松井田 彰
チームだと発想がコラボレーションします。
7. チームみんながデザイナ
全員がデザイン思考を持つ。
―坂田 一倫
リーンUXでは全員がデザイナであり、全員がプログラマでもあり、全員がマーケターです。
創業時のカルチャーが、グロースしたときのカルチャーになる。
―松井田 彰
創業に限らず、物事のはじまりが後にも影響します。スタート時点でチームの協業を重視する風土を作っておきたいですね。
8. 社内ワークショップ
デザインの考え方をチームに浸透させるためには、デザイナが社内ワークショップを開くのが効果的。
―坂田 一倫
デザインに限らず、プログラムでも何でもそうだと思います。チーム全員がそれぞれの分野のことを知ってこそ、いいコラボレーションが生まれます。
まとめ
チーム全員で徹底的にコミュニケーションして協業することが大事です。それぞれが持つ職種に縛られず、チームがコラボレーションしながらひとつの答え(=体験)を導き出す。それがリーンUXであり、利用者にとって本当に価値のあるものを効率よく作るための方法論です。
以上です。
ただ手段を知るのではなく、いいものを作るための文化を知ることができるとても刺激的なイベントでした。登壇者の方々、Lean UXを刊行されたオライリーさん、主催のGREEさんに感謝です。
私もUI/UX関連のセミナーで登壇させていただくことがあり、最近行った九州工業大学での講演資料をこちらで公開しています。よろしければご覧ください。
皆さんにも参考になれば幸いです。